マルベック|イスラエルワイン近代化の当初から持ち込まれたフルボディの赤ワイン
- 2018.02.08
- イスラエルー赤ワイン
- イスラエルワイン歴史, エドモンド・ロスチャイルド, ティシュビ, マルベック
イスラエルにおける近代のワイン造りが、シャトー・ラフィットのエドモンド・ドゥ・ロス チャイルド男爵による1880年代の投資から始まったことは以前にも触れましたが、この時期に、かのシャトー・ラフィットより持ち込まれましたのがカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、マルベックの3種類。何せ当時は、マルベックはボルドーでセンターを務めていた品種ですからね。
ティシュビ・エステートのマルベック2012
そして今回栓を開けましたのは、ティシュビ・エステートのマルベック2012。ハイファのギヴァト・アダ地区にあるブドウ園で造られたブドウが使われ、シングル・ヴィンヤード、ノンフィルターのワインです。
上述の如く、マルベックは当初よりイスラエルに持ち込まれていた訳ですが、さらにティシュビ・ワイナリーと言いますのは、まさにロスチャイルド男爵がイスラエルでワイン造りを始めたときに、男爵より請われてブドウ造りを始めたワイナリーなんです。
このマルベックの中にも、そのときからの歴史が息づいているといえるでしょう。
6年目を迎えたマルベック
色は濃い赤紫色をしていますが、よく言われる黒ワインと言われるほどの黒っぽさはありません。
口に含むと、柔らかな果実味にスパイシーな刺激が広がりますが、まだ固さがあり、味もバラバラで、『ちょっと待って!』とワインが言っているのが分かります。
それでも口当たりはとても滑らか。濃密感が漂い、品の良さも匂わせて、素晴らしい味わいが楽しめそうな予感に溢れているのです。
待ちきれずに30分ほど経った頃
完熟感漂うプラムや干しぶどうのほんのりとした甘さに、タバコ香、あるいはカカオの香りが入り交じった、特色ある濃密な香りが漂います。タンニンと果実味が一つに溶け合って艶やかな装いを見せながら、何とも柔らかく調和の取れた穏やかな味わいが広がり始めます。
酸味は控え目。フルボディの重厚感が漂よいますが決して重た過ぎることはなく、バランスの良い、深みのある、穏やかで優しい味わいが実に良いですね。
これに後から厚みのある柔らかなタンニンの刺激が優しくまとわりつき、長い余韻の中に漂うほのかな果実の甘味も心地良さを誘います。
繊細で品の良い味わい
十分なふくよかさ、厚みを感じさせながらも、ジャミーとも表現されるような濃密感とは一線を画し、優しく落ち着いた、しっとりとした雰囲気が品の良さを醸し出していて、日本人の繊細な感性にとても良く合う個性豊かなマルベックです。
ノンフィルターで造られていて、自然派志向のティシュビの実力を遺憾なく発揮する高級赤ワインの1本と言えるでしょう。長期熟成も期待できそうです。
ティシュビ・ワイナリーのワインはこちらから: 『ティシュビのワイン一覧』
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