イスラエルワインとブドウ品種 - 編集 & 再録版(NO.130330)
イスラエルにおける近代のワイン造りは、1980年代に、シャトー・ラフィットのエドモンド・ロス チャイルド男爵による投資から始まったことは良く知られていますが、これより少し早い1970年代頃
からキディッシュ・ワインやテーブルワイン用に造られていたカリニャンが高品質ワインへと変貌を遂げ、イスラエルの特色あるワインとしての地位を築いていきます。
またこれに少し遅れるものの、1970年代後半にはプティ・シラーも赤ワインの主要な品種として導入され始めたようです。VITKINのカリニャン及びプティ・シラーはこのあたりの流れを汲んだイスラエ
ルの特色あるワインと言う事が出来ます。
さてエドモンド・ロスチャイルド男爵は、イスラエルの土壌の特徴を活かしながら、ブルゴーニュ・スタイ ルの赤ワインを造ることに注力したようで、この頃にイスラエルに持ち込まれましたのが当時ブルゴーニュの中心品種であったカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、そしてマルベック。
この後さらにこれら近代化の流れを受け、メルローやシャルドネなどが持ち込まれることになります。
VITKIN: 左からカリニャン、ピノ・ノワール、
プティ・シラー
なお、イスラエルにおける2013年度各ブドウ品種の収穫割合は以下の通りです:
(参考:wines Israel)
カベルネ・ソーヴィニョン | 21% | カリニャン | 15% | ||
メルロー | 14% | シラー/シラーズ | 8% | ||
コロンバール | 5% | マスカット | 4% | ||
アルガマン | 4% | シャルドネ | 3% | ||
プティ・シラー | 3% | ソヴィニョン・ブラン | 3% | ||
エメラルド・リースリング | 3% | カベルネ・フラン | 2% | ||
その他 | 15% |
ちなみにピノ・ノワールの収穫量は全体の1%未満で、その他に含まれています。
またこの中で面白いのがエメラルド・リースリング。
この品種もイスラエルには1970年代後半に持ち込まれたのですが、元々は1950年代にカリフォルニアでリースリングとミュスカデルを交配してできた品種だそうです。イスラエルでも昨今は赤ワインが好まれますが、白ワインの中ではエメラルド・リースリングの人気が高く、この品種のこれだけの成功は他の国では見られないそうですよ。イスラエルで花開いたエメラルド・リースリングと言えそうです。