今月のPick up ではビンヤミナのメルロを取り上げていて好評ですが、負けずに素晴
らしい味わいのメルロにプサゴットがあります。たっぷりの果実味が楽しめるビンヤ
ミナに対し、より濃厚で凝縮感の漂うフルボディの味わいです。
プサゴット・メルロの現在のヴィンテージは2011年。昨年取り上げたときは2008年の
物でしたので、改めて2011年を開けて見ることにします。少し空気に触れさせた方が
良さそうに思えますので、肩口まで空けた後にパニエに入れ、じっくりと向き合いな
がら...
果実の香りが幾分控えめと言いますか、それ以上に土壌の香り、森の下草の香りが湧
き立ち、野性的な風合いが目立ちます。ビンヤミナのガリラヤ地方で収穫されたブド
ウに対し、プサゴットのそれはジュデアンヒルズのブドウから作られていて、他の品
種でもジュデアンヒルズの場合は土の香りや下草の香りが現れる場合がありましたの
で、熟成の他に土地柄の特徴も絡むのかも知れません。今後とも注意を払ってみたい
ところです。
さて味わいの方は、滑らかな舌触りですが濃厚かつ凝縮感の漂う味わいで、マイルド
な酸味、深く柔らかい渋み、そしてスパイシーな余韻が長く続き、後から控えめなが
らもプラムやチェリーの果実風味が広がります。
繊細で透明感のある酸味が現れたりもしますが、骨格はとにかく濃厚で凝縮感のある
果実風味が漂うフルボディの味わいで、これに苦みやミネラル感などの複雑味が重な
ります。
単に濃厚な果実風味だけではない、野性的な味わいに複雑味も漂う大人の味わいが魅
力的で十分楽しめるのですが、2008年を飲んだ時のもう少しまろやかで芳醇な味わい
が思い起こされ、また全体のバランスももう少し良くなるように思えて、『このメル
ロはヴィンテージから4年は待った方が良いかも...』との気持ちが頭をもたげる
のです。最も美味しく飲める頃にはもうなくなっているのが常ですけれど。