プサゴットのおかげで、このところカベルネ・フランがすっかり気に入っているの
ですが、市場でもエレガントなワインが好まれる傾向にあるようで、カベルネ・フ
ランの地位も上がっているのだそうです。
そこで勢いに乗って、取り出しましたのがヴィトキンのカベルネ・フラン。
色は透明感のある深く黒っぽい赤紫色。グラスの内側にゆっくりとワインの筋が流
れ落ち、色合いだけでなく中身も濃そうな様子が見てとれます。深い森の香り、下
草の香り、幾分焦げた樽の香り...複雑さと甘い雰囲気を漂わせる柔らかく魅力
的な香りです。
口に含むと、滑らかな舌触りに結構なとろみと重みが絡みあい、
凝縮した、とても濃厚な黒系果実風味に酸味と渋みが混じり合い、
後からスパイシーな香りが余韻として湧き上がり...
時間と共に酸味とそれなりにしっかりとした渋みが存在感を増してくるのですが、
味に凝縮感はあるが透明感がない、濃厚だがエレガントさがない...と物足りな
さが残り、このまま少し時間を置く事にします。
そして時間が経過した後半は、俄然味わいが変わってくるんです。
ドロッとした凝縮感が柔らかくなり、果実風味、酸味、渋み、スパイス、これら全
体のバランスがどんどん良くなってきます。併せて期待もどんどん膨らんできたと
ころで、『ここまで来たのならこの続きは明日にしよう。』
さらに二日目になると、装いも新たなカベルネ・フランがそこに...
二日目になって、改めてじっくり空気に触れさせた後の事:
すっかり装いも新たに、繊細で気品に満ちたカベフラが、品の良い笑顔を浮かべな
がらそこにいるじゃありませんか!
透明感があり、微かに甘みも伴う柔らかな果実風味が繊細な香りを放ち、
バランスの取れたマイルドな酸味と控えめな渋みがエレガントな味わいを醸し出し、
柔らかいスパイスの刺激が心地よい余韻として広がります...
プサゴットと言い、ヴィトキンと言い、カベルネ・フランはイスラエルの土壌に合
っているのかも知れませんね。