イスラエルで古くから栽培されていた カリニャン
ヴィトキンのところでも触れましたが、
元々スペインが原産地と言われているカリニャンは
イスラエルでも古くから広く栽培されていて、
安価な日常用ワインとして親しまれてきました。
イスラエルにおける2013年の収穫量を見ても、
第一位であるカベルネ・ソーヴィニョンの21%に次いで、
カリニャンは15%の収穫量を占め、広く作付されていることが
分かります。
ところがこの安価なカリニャンが、
1970年以降のワイン造りの近代化の中で高品質ワインへと生まれ変わり、
イスラエルの特色あるワインの一つとして注目されるところまで
評価を高めているのです。
カリニャンは酸が高くなる傾向がありますが、
収量をきちんと抑えるとこの酸味が抑えられ、
より凝縮した、そしてよりバランスの良いワインとなる事が
分かっています。
また長く熟成させることにより、
プルーンやブラックベリーなどの香りと洗練されたタンニンが
バランスよく交じり合い、
滑らかで豊かな果実味の味わいになると言われています。
そんな中で今回取り上げていますのはビンヤミナのリザーブ・カリニャン。
下ガリラヤのブドウ園で少な目の収穫量に抑えられ、
手摘みで丁寧に収穫された後に、
マロラクティック発酵を経てフレンチオーク樽及び
アメリカンオーク樽にて12か月間熟成されています。
最後に最適なブレンドが施され、最低限のろ過を経て瓶詰されますが、
さらに少なくとも1年間はそのまま熟成の期間が設けられた後に
出荷されています。
ヴィンテージは2011年。
栓を開けた途端に果実の香りが湧き立ち、併せて干し草の香り、
土壌の香り、焦げた樽香、ロースト香などが交り合います。
粘性もしっかりと見られ、色は黒っぽい赤紫で濃縮感が漂います。
口に含むと舌触りはとても滑らか。
透明感のある酸味に柔らかな渋みが溶け合い、
明らかにカリニャンの風味が広がるのですが、
どこか深みの無い、内に籠った感じの味わいが、
しばらく待った方が良い事を暗示しています。
...と言う訳で、抜栓して1時間ほど経った後の事。
柔らかく豊かですっきりとした果実風味に透明感のある
心地よい酸味が交り合い、ほのかな果実の甘みも加わって、
期待通りの美味しい味わいが広がります。
後から控えめの渋みがゆったりと湧き上がり、
長く続く柔らかいスパイシーな余韻も良いですね。
ちょっと面倒ですが飲む1時間前には抜栓し、
さらに最初の一杯目は少し酸味が強めに出るのでこれを外せば、
以降はカリニャン独特の柔らかく豊かな果実風味の広がる、
バランスの取れた芳醇な味わいを楽しむことができます。
最初に飲んだイスラエルワインがカリニャンだった事もあり、
どこか親しみと馴染みのある味わいに心が和みます。
ぜひ一度、試してみてはいかがでしょう。
ただし呪文をお忘れなく!
< 飲む1時間前には抜栓し、
最初の一杯目は少し酸味が強めに出るのでこれを外して >
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