最も古い歴史を持つエルサレムのワイナリーからやってきた高級ワイン
- 2018.07.07
- イスラエルーワイン全般
- エルサレム, ハヨツェル・ワイナリー, メルロ
イスラエルは日本の四国ほどの広さですが、
特色溢れるワイナリーが数多く存在しています。
そんな中で今回取り上げますのはエルサレムからやってきたワイン達。
ショル・ワイナリー
その前に、まずはショル(ファミリー)・ワイナリーについて
少し触れなければなりません。
ショル・ワイナリーは1847年に設立され、
イスラエルに現存するワイナリーの中で最も古いワイナリーなのです。
イスラエルはワイン発祥の地の一角を占め、5,000年以上の
ワイン作りの歴史がありますが、
ロスチャイルド家によってカーメル・ワイナリーが設立され、
イスラエルで近代ワイン作りが始まりましたのが1882年。
その35年も前にショル・ワイナリーはスタートしていた訳です。
ユダヤ人は宗教上の儀式などで必ずワインを使用することから、
当時は各自が家でワインを作っていたそうです。
そこでショル・ファミリーはこのニーズに応えようと、
エルサレムの旧市街地区でワイナリーを始めるのですが、
これがイスラエルで最初に登録されたワイナリーになるそうです。
そしてハヨツェル・ワイナリーの登場
このショル・ファミリーがイスラエルの高名なワインメーカーの一人である
フィリップ・リヒテンシュタインと組み、
高品質ワインを作ることに注力して始めましたのが
ハヨツェル・ワイナリーなのです。
やはりエルサレムに拠を構えています。
そのワインの質の高さは市場の注目を一身に浴びていまして、
アメリカのワイン評価誌『ワイン・エンスージアスト』による
直近の品評会でも7種類のワインが高得点を獲得しています。
以前から気になっていたワイナリーでもあり、
とにかく試飲してみようと幾つか取り寄せてみたところなのです。
まずはビルトゥオーゾ(ヴァーチュオーゾ・VIRTUOSO)・シリーズ
ビルトゥオーゾとはすぐれた演奏技巧をもつ音楽の名手、
(芸術の)名人,巨匠を指す言葉です。
ワインらしからぬ名前が使われていますが、
何せ『ワイン造りは創造性のアート』がモットーだそうで、
こんなところにもこだわりが感じられます。
またワインのエチケットには人の横顔のモチーフが描かれ、
芸術性を匂わせていて、イスラエルワインらしからぬ雰囲気が漂います。
オーストラリアのピーター・レーマンに似た印象もありますけどね。
栓を抜きましたのは『ビルトゥオーゾ メルロ 2014』
色は明るく澄んだ、赤みを帯びたルビー色。
ほのかな甘味を伴いながら柔らかな果実香が広がります。
そしてほどよい果実味、控え目な酸味、ほどよいタンニンの柔らかな刺激...
一口目からバランスの良い、ふくよかで軽やかな味わいが湧き上がり、
これに透明感のある、柔らかな余韻が優しく包み込むように重なります。
イスラエルワインに見られる濃厚な味わいとは少し距離を置いて、
それでも十分な味わいの広がり、ふくよかさを保ちながら、
あくまでバランス良く、淡く優しく、
透明感のある味わいが品の良さを醸し出しています。
そして暫く時間が経ちますと、
優しく透明感のある口当たりを保ちながら、
柔らかく豊かなタンニンの刺激がゆったりと湧き上がり、
長い余韻の中で心地よさを誘うのです。
いきなり素晴らしい味わいが飛び出して、
これからの他のワインが一層楽しみになるハヨツェルのワイン達なのです。
ご参考: イスラエルのワイナリー事情
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