ノンフィルターワインの話|濃密なフルボディの赤ワイン

ノンフィルターワインの話|濃密なフルボディの赤ワイン

カーメルとティシュビのノンフィルターワイン

『ノンフィルターのワインはあります?』

なんてピンポイントのご質問もちらほら聞かれるこの頃ですが、そもそもノンフィルターとはどんなワインなのか、振返ってみることにしましょう...

ワインの澱とフィルトレーション

ワインの瓶底に沈殿物がたまっているのを見かけた事があると思います。これが澱(オリ)と呼ばれるもので、ワインに溶け込んでいた成分が、熟成が進む過程で不溶性の物質となって沈殿したものです。

そもそもワイン造りでは、葡萄の果汁を絞り、酵母をいれて発酵処理を行い、澱引き(沈殿物はそのままで、上澄みだけを取り出す)をして、瓶詰め前にもう一度沈殿物などを濾過する訳ですが、この濾過作業のことをフィルトレーションと呼んでいます。尤もその目的は単純な濾過だけでは無さそうです。

ティシュビ・エステートのカベルネとメルロ

ワインに含まれる成分あるいは不純物と言いましても、沈殿物や酵母、バクテリアに微粒子など様々なものが有り、かつその大きさも異なる訳で、除きたい対象物によってフィルターも使い分けるそうです。例えばミクロフィルターを使えば酵母や乳酸菌など、バクテリアを除去できますし、さらにウルトラフィルターとなりますと、タンパク質やタンニンの除去だって可能だそうです。

ワイン造りの技術の進歩はものすごいんですね。

ティシュビのノンフィルターワイン

ノンフィルターのワイン造り

一方、自然なワイン造りを目指すのが自然派ワイン。
ノンフィルターまたは軽いフィルタリングのみで瓶詰めされるものが多いと言われています。このためワインの中には澱が存在する事になりますが、この澱には旨味や香りの成分も多く残るため、複雑味があり、香りとコクの高いワインができると考えられています。ただし、『フィルトレーションとはワイン造りのほんの一部のプロセスに過ぎず、フィルターをかけるかどうかでワインの味が決まるわけではない』とは多くの醸造家が言うところです。

自然派ワインにしても、もちろんノンフィルターであることが全てではありません。

消費者の立場からしましても、やはり大事なのは飲んで美味しいと感じるかどうかでしょうし、結局自身の好きな味わいをどう見つけるかと言う事になる訳で、ノンフィルターという言葉は一つの指標に過ぎない、と言うところでしょうか。

カーメルアペラシオン

ティシュビとカーメルのノンフィルターワイン

ティシュビとカーメルでも、ほんの一部ですがノンフィルターで造られたワインがあります。元々ティシュビは土壌の持つ力を信じてブドウを育てるやり方を創業以来続けているワイナリーです。

そんなワイナリーのエステート・シリーズに含まれるカベルネ・ソーヴィニョンとメルロ-は、いずれも12ヶ月間のオーク樽熟を経た後、ノンフィルターで瓶詰めされています。早飲みでも楽しめて、かつ長期熟成も可能なワインを造るというティシュビのこだわりが感じられるワインです。

またノンフィルターといっても必ずしも濁りがある訳では無く、ティシュビのカベルネやメルロ-で濁りを感じることはめったにありません。瓶の底に澱が溜ってはいますけどね。

時間(年)を経ることに調和の取れた熟成感を匂わせて、深みのある心地良い味わいが広がります。上品なだけではないしっとりとした重たさも漂わせ、心地よい余韻が何とも魅惑的なワインです。

カーメルアペラシオンのカベルネ

カーメルのアペラシオン・シリーズもノンフィルター(または軽いフィルタリング)で作られていまして、当店でご紹介しているカベルネとカベルネ・シラーズの2種類は、いずれも上ガリラヤ地方で収穫されたカベルネ・ソーヴィニョン100%、そしてカベルネとシラーズのブレンドです。

皮と共に発酵、浸漬、ノンフィルターで処理され、フレンチオーク樽にて12ヶ月間熟成された後、瓶詰めの前に簡単なフィルター処理のみが施され、瓶詰め後さらに12ヶ月間の瓶内熟成を経て出荷されています。