イスラエルのワイナリー事情
※ 最新の情報はこちら:『イスラエルのワイナリー事情(新)』
イスラエルでは小さなブティック・ワイナリーが興隆を極め、現在では300を超えるワイナリー
がイスラエル全土で活躍しています。
*イスラエルのブドウ栽培地域につきましては、『イスラエル全土で育まれるワイン造り』
をご覧下さい。
ここで特徴的なのは、3大ワイナリー(カルメル、バルカン、ゴラン・ハイツ)で市場の65%
という高いシェアを占めていることでしょうか。
そして4位、5位のテパーバーグとビンヤミナを加えた5大ワイナリーでは76%、トップ13 ま
でを含めるとなんと市場の94%を占めています。
多くのブティック・ワイナリーがいかに小規模経営であるかが窺えますが、小規模ながらユニ
ークで高品質なワインを作り続けているブティック・ワイナリーの存在もまた、イスラエルの
ワイナリー事情の特徴の一つです。
当サイトでは、これらの中から第2位のバルカン・ワイナリー(セガル・ワイナリー)、第5位のビンヤミナ・ワイナリー、第6位のティシュビ・ワイナリー、そしてブティック・ワイナリーの中からは特徴あるプサゴット・ワイナリーと関係を持ち、各商品を販売しています。
各ワイナリーにつきましては以下をご参照下さい。
セガル・ワイナリー ( Segal winery )
赤ワインに高い評価を得ているセガル BEN AMI ブランド
1925年にロシアから移住してきたSegalファミリーが、イスラエル建国直後の1954年に本格的にワイン造りを始めて設立したセガル・ワイナリー。イスラエルの近代ワイナリーの先駆けの一つとしても知られていまして、その後イスラエルで6番目に大きなワイナリーにまで成長していきます。
市場で高く評価されましたのが1977年に投入されたBEN AMI のブランドで、もう一つのブランドShel Segal と共に、革新的なワインとしての地位を確立していきます。特に赤ワインは高い評価を得ていて、1980年代初期にはイスラエルで最高の赤ワインと見なされていたそうです。
また、日本では販売しておりませんが、セガルにはREHASIMシリーズと言う 単一品種のカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、アルガマンがあります。
このなかでアルガマンはイスラエル固有の品種であり、いきなりヨーロッパの品評会 で最優秀賞を受賞して驚きをもって迎え入れられると共に、一躍セガルの
名前、そしてアルガマンの名前を世界に知らしめたなどと言う逸話も残っています。
2001年にはバルカン・ワイナリーの傘下に入る事になりますが、その後も独立した運営が続けられています。
ビンヤミナ・ワイナリー ( Binyamina winery )
最もワイン作りが盛んであったハイファ地区南に位置するビンヤミナ・ワイナリー
ビンヤミナ・ワイナリーは、ハンガリーから移住したJoseph Zeltzerによって1952年に設立されました。最初はEliaz Wineryと呼ばれていた地域で、バロン・ベンジャミン・ド・ロスチャイルドによって建てられた香水工場の跡地を利用してワイン作りが始まります。
その後この地はロスチャイルド家ゆかりのベンジャミンの名前を取ってビンヤミナの地名が付けられる事になり、そしてさらに幾つかの変遷を経て、1990年代半ばより現在のビンヤミナ・ワイナリーの名前となっています。
当初は、当時では最もワイン作りで有名であったハイファ地区の南にあるこのビンヤミナのローカルなブドウ畑からブドウを得てワイン作りが始まった訳ですが、60年を経た今ではイスラエル全土にブドウ畑を構え、イスラエルで5番目の規模のワイナリーに成長しています。
ティシュビ・ワイナリー ( Tishbi winery )
イスラエルのワイン業界において最も古いプレイヤーの一つ
ティシュビ・ワイナリーは、1882年にミハエル・カミレツキーとマルカ・カミレツキー夫妻がリトアニアより移住し、イスラエルのワイン作りで重要な役割を果たしたエドモン・ド・ロスチャイルド男爵の依頼を受けてジフロン・ヤアコヴでブドウ作りを始めた事に由来します。そんな経緯から、男爵(バロン)にちなんでバロン・ワイナリーと呼ばれていた時期もあり、イスラエルのワイン業界において最も古いプレイヤーの一つです。
一世紀以上にも渡って、男爵がその基礎を作り上げたカルメル・ワイナリーの為にブドウ作りを続けていましたが、1984年にミハエルの孫にあたるジョナサン・ティシュビによってティシュビ・ワイナリーが創設されます。
以後一貫してファミリーによるワイナリー経営が行われていて、葡萄作りに農薬や、殺菌剤、除草剤等々を使用せず、また肥料を使う事も無く、土壌の持つ力を信じてブドウを育てるやり方を引き継いでいます。
そしてカルメル山麓(ジフロン・ヤアコヴ)から始まったブドウ作りもガリラヤ地方、エルサレム近郊のジュデアンヒルズ、そして南のネゲヴ砂漠とイスラエル全土に広がり、現在ではイスラエルで6番目の規模のワイナリーへと成長しています。
プサゴット・ワイナリー ( Psagot winery )
ビジター・センター
プサゴット・ワイナリーは、エルサレムから北へ25kmほどのヨルダン川西岸地区丘陵地帯の頂きに位置しています。ワイン樽の貯蔵設備として使われている洞穴はワイナリー創設時に発見されたもので、この洞穴が造られたのはエルサレムの神殿の丘に建てられた第二神殿の時代(紀元前516年~紀元後70年)にまで遡ります。
古代の圧搾施設も残っていて最新鋭設備と同居しているのですが、洞穴内は自然のままで湿度90%に保たれ、気温は冬で約12℃、夏でも18℃を超えることはないそうで、この洞穴は今も利用されています。
また幾つかのボトル表面には古代のコインのレプリカが装飾されていますが、このコインも古代の洞穴の中から当時のワインやオリーブの圧搾道具と共に見つかったものの一つで、重厚な趣を醸し出しています。
その他のワイナリー(ヴィトキン & ヤッフォ・ワイナリー):
ヴィトキン・ワイナリー ( VITKIN winery )
ヴィトキン・ワイナリーは、カルメル山の麓に位置するヴィトキン村の農園内にて2001年の収穫期よりワイン造りを始めた新進気鋭のブティック・ワイナリーです。
小さなワイナリーですが、カルメル・ワイナリーなどと共にイスラエルの先駆的なワイン造りの活動には必ず名前が出てくる、『あまり知られていない品種から良いワインを作りだすスペシャリスト』としてイスラエルでは有名なワイナリーでもあります。
毎年イスラエルでは各地でワイン・フェスティバルが行われますが、ヴィトキン村でも当ワイナリーが中心になり、地元の人たちと一緒に気楽なフェスティバルが開催されています。こんな風にワインを楽しめると良いですね。
-2013年05月27日 イスラエルワイン・ブログより-
ヤッフォ・ワイナリー ( Yaffo winery )
ヤッフォ・ワイナリーは、1998年にオーナーのモシェ・セルニカーさんが地下室で2,000本ほどのカベルネ・ソーヴィニョンを造ったのが始まりなのだそうです。テルアビブ・ヤッフォにて始めたことからこの名前が付きましたが、現在はイスラエルのプロバンスとも呼ばれるエラバレーでワイナリを営んでいます。
エラバレーは、エルサレムの北にある山岳地帯から南に広がるジュデアン・ヒルズにあり、旧約聖書に記述されているほど古代からブドウ栽培が盛んな土地です。
さて、ユダヤ教には厳しい食事規定(カシュルート)があり、この食事規定を守って造られたのがコーシャワイン。醸造から瓶詰めに至るまで、ワインに触れて良いのは正統派と呼ばれるユダヤ教徒に限られており、また認定を受けるにもユダヤ教認証団体から派遣された聖職者ラビの検査を受ける必要があるのだそうです。
そうなんです。Yaffoワイナリーではコーシャワインも製造・出荷しています。コーシャ食品は、健康食品としても注目を浴びているようですよ。
Yaffoワイナリー社長のモシェ・セルニカーさんとコーシャ責任者のラビ
未成年者の飲酒は法律で禁止されています。当サイトでは、未成年者へのワインの販売は行いません。