カーメル・シングルヴィンヤード|マルベック・アドモン2016

カーメル・シングルヴィンヤード|マルベック・アドモン2016

イスラエルにおける近代のワイン造りが、フランスのシャトー・ラフィットのオーナーであったエドモンド・ドゥ・ロスチャイルド男爵による1880年代の投資から始まったことは幾度と触れてきましたが、この時期にシャトー・ラフィットより持ち込まれましたのがカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、そしてマルベックの3種類。
マルベックは1880年代当初からイスラエルに持ち込まれていたんですね。

持ち込まれた当時はボルドータイプのワインはあまり受け入れられなかったようですが、マルベックを造るワイナリーが徐々に増えるにつれ、高品質のマルベック種のワインも見られるようになります。 そしてイスラエル北部のガリラヤ地方やゴラン高原の気候がマルベックに向いていると高く評価されるに至り、マルベックはイスラエルに向いたブドウ品種であるとさえ考えられるようになっていくのです。

カーメル・ワイナリーは上述のロスチャイルド男爵が拓いたワイナリーですからね。カーメルのマルベックと言いますと当時持ち込まれた苗がそのまま受け継がれた歴史香る葡萄品種になる訳です。

カーメルのマルベック2016

フルボディの凝縮感と品の良さ溶け合うエレガントなマルベック

カーメルのシングルヴィンヤードのマルベックは、上ガリラヤ地方の北東部にあるアドモン葡萄園(単一畑)で収穫されたマルベック100%のワインです。

アドモン葡萄園は標高770m程に位置し、気候は年間を通してとても冷涼であり、地中海沿岸に分布する赤土のテラロッサ土壌の広がる、石を多く含んで水はけの良い地域にあります。ここで夜に収穫されたブドウは直ちに隣接するカヨウミ・ワイナリーに持ち込まれ、ロット毎に低温浸漬・発酵に続いてフレンチオーク樽で15ヶ月間熟成され、ブレンド処理の後、簡易な濾過を経て瓶詰めされています。

色合いは黒っぽさも漂う濃い紫色。チェリーやストロベリーの豊かな果実香が漂い、これに微かにタバコ香も重なります。
抜栓直後から厚みのあるふくよかな果実風味が広がり、これにそっとスパイシーなニュアンスが重なって、バランスの良いしっとりとエレガントな味わいが広がります。

少し時間が経つとまろやかな果実味の中にも心地よい酸味と優しく柔らかなタンニンが顔を出し、しっかりとした厚みのある余韻となって一層の魅力を放ち始めます。
フルボディの凝縮感漂う味わいの中に優しさをにじませて、そして時折顔を出す控え目でスパイシーなアクセントが複雑味を添えて、ふくよかな余韻と溶け合う細やかな味わいが心地よさを誘うのです。

カーメル・ワイナリーのワインはこちらから: 『カーメルのワイン一覧』